自己紹介
なんとか子どもたちを車に乗せて、葬儀場に到着した。
子どもたちはさっそくタブレットでゲームやユーチューブ三昧…。でも、現実逃避にもなるし、まぁいっかとも思う。だって現実は辛すぎるから。
喪主である私は到着してから打ち合わせ三昧。昨日もあんなに話したのにとも思うが、故人の人柄を案内するナレーション内容や御霊前で頂いた現金の管理は誰がするのか、遺影・位牌・骨壷は誰が持つか?誰が霊柩車に乗るのか?など事細かに決めていった。
通夜の日、そのときに満中陰志の時に贈る物を当日来ていただいたときに渡すのか?(葬儀場のイチオシであった)それとも、満中陰志として喪主が贈るのかという打ち合わせもあった。
義理の父母は「当日に渡すのはあまり聞いたことがない…。でも、あなたに任せるわ」とあまり良くない印象ではあったが、私の精神状態がこれからどうなるかわからないし子どもたちのこともある。
満中陰志ですべての人に私が贈るとなると、家族葬といってもどれだけの人が来てもらうのかわからないので、きっと葬儀場の利益が高いことは分かっていたが「その場のお渡しでお願いします」と依頼していた。
結果、たくさんの人が来てくださったので全員分のお返しを私一人でしないといけなかったとしたら…。今考えても英断だったと思う。(自分で言う)
さて、彼の人柄。優しくて、真面目で、誠実。(でも子どもたちに怒鳴ることはあるけど)あと、彼の背中に三男、両脇に長男次男を携えていつもユーチューブの芸人やホラーちゃんねるなど見ていた。
特にホラーちゃんねるの『ダラシメン』っていうのが好きで、子どもたちもびくびくしながら父親にくっついてよく見ていた。そして、その間に私は食器を洗ったり掃除をしたりしていた。
あぁ、もうその姿が見えないのか。
彼の人柄の中にも『親子でホラーちゃんねるをドキドキしながら楽しんだ』と入れてもらった。
葬儀の時間が迫り、控室から式場に移動する。
昨日に引き続き、長男次男はしっかりと座っていた。三男はかなりソワソワしていて「(控室)さっきのお部屋に戻ろう」と言っている。どうしようと悩んだが、抱っこしたり、ちょっと歩いたりしながら誤魔化しつつ過ごした。
私がさっき打ち合わせで話した彼の人柄が12枚の写真と一緒に上映されナレーションが始まる。
次男は泣きながら「なんでこの人はお父さんのこと知ってるん?なんでホラーちゃんねる見てたこと知ってるん?!」と言っている。
本当にもう。かわいいなぁ。こういうところで私は救われる。
『最後のお別れです』とアナウンスがある。
彼の側にはお花でいっぱいになった。
実は、葬儀前に担当者にお願いしたことがある。
「おかしかったら、おかしいって言ってくださいね?あの、彼の棺に私の髪を切って入れてもいいですか?」
夫だけ燃やされてしまうのが本当に耐えられなかった。一緒に燃えたかった。
「大丈夫ですよ。和紙をお持ちしますね」とすぐに対応してくれた。
子どもたちにも説明して、子どもたちの髪の毛も少しずつ切って私の髪と一緒に和紙でつつんだ。彼の一番近くにそっと置いた。
すると対応してくれた担当者がもう一枚和紙を渡してくださり、
「旦那さんの髪も置いておきますか?爪も切っていいと思いますよ」と提案してくださったのだ。
「ただ、どうしても劣化してしまいます。保存方法としては食品用の真空パックでとにかく空気に触れないようにしてください。それが一番長持ちします。」
必死な私に対して、それに以上の提案をして答えてくださるのがとてもありがたかった。
大事に彼の髪と爪を袋に入れた。
後にこの髪と爪は、自然にかえすことになるのですが。
そうして、棺を閉めることになった。
最後のお別れをしてくださいのアナウンスにみんなお別れを言う。
私は現実逃避気味の三男を抱いたまま、一番最後に棺に近づいた。
それまでソワソワしていた三男がはっきりと言った。
「ぱぱ、ばいばい。ぱぱ、ばいばい」
何度も、そう言った。すすり泣く声が聞こえてくる。私の目も涙でいっぱいになる。
私が位牌、義理の父が骨壷、そして長男が遺影を持った。
ごめんね、長男。小6で父親の遺影なんて持ちたくなかったよね。
私は来ていただいたみんなにご挨拶をし、夫の乗った霊柩車のあとから続いて子どもたちと一緒に火葬場に向かった。
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