自己紹介
いよいよ、大家さんに今の現状を伝えるべくおうちに伺いに行く日。
とても悩んだ結果、『あまり気を使わない程度』の小さめの菓子折りを持参することにしました。
実は、元の大家さんは去年お亡くなりになり、新しく息子さんが大家さんになられるとのこと。その新大家さんは、お母さん(つまり元大家さんの奥さん)とふたり暮らしをされているとのことでした。
普段は、大家さんは会社勤めをされているので以前から相談事は、大家さんのお母さんを通していたそうです。また、今回も「お子さんが小さいこともあり大家さんが在宅している時間の訪問は難しいだろうから」と管理会社が配慮してくださり、時間を調整してくださったのです。
なんと、ありがたい。
ドキドキしながら伺ったおうちからでてきたのは80代のおばあちゃんでした。
「まぁまぁ、来てもらって申し訳ないねー」そう言ってくださったのです。
「とんでもございません。お時間を作っていただいて申し訳ありません。」正しい日本語ってなにか分からなくなるくらい焦りながら一生懸命、ご挨拶しました。
「まぁまぁ、あがってー」と和室に通していただき、いざお願いしようと話し始めると涙が止まりませんでした。
「長く住まわせてもらっていて本当にお願いばかりで申し訳ありません。今のおうちは夫と結婚してからずっと住んでいる家で、あの家で子どもたちは初めてはいはいしたり、歩いたり。裏の敷地でサッカーしたり縄跳びしたりと過ごしておりました。
今までのすべての思い出があの家にあるんです。お金で買えないものばかりなんです。
しかし、この先、3人の息子が成長して食費や進学など色々とお金のかかることが増え、少しでも家賃がお安くなればと思いお話に来ました。
もちろん、大家さんも生活があります。慈善事業ではないので家賃の値下げは難しいことは理解していますが…。本当にお願いばかりで申し訳ないです。」
大家さんのお母さんは「うんうん」と涙を浮かべて聞いてくださりました。
「三男が…最近、『ぼくも死にたい』っていうんです。」と私は話しました。最近、本当に悩んでいることなのです。
「あれ!なんでそんなこと…」大家さんのお母さんも悲しそう。
「三男が『ぼくも死んでお父さんのとこに行きたい。一緒に遊びたい』って、もうどう言ってあげたらいいのか。まだ年長さんで幼くて。お父さんのこといつまで覚えていられるか…」
そう伝えると、自身のお話をしてくださいました。
「私もね。物心付く前に父親を亡くしていて。小学生の時に母親を亡くしたんです。もうね、母に会いたくて悲しくて毎日泣いて「お母さんのとこに行きたい」って言っていたら兄が「おまえが泣いていたらお母さんは悲しむよ!」言うてね。」
あぁ、なんてことだろう。この方もたくさん苦労されてきたのだと知りました。
「だからね、私にできることがあったらなんでもやりたい。あなたにやってあげたいです。あとね、お母さん。頑張らないかんよ!」
しっかりとした口調でそう言われました。
今まで夫が亡くなってから周りの人たちに『無理しないで』『大丈夫?』『頑張ったらいかんよ』と私を心配する言葉を沢山いただいていました。
『お母さん。頑張らないかんよ!』
はっとさせられたのです。そう、頑張らないかん。私は、涙ながらに応えました。
「もちろんです。3人の息子たちを立派に自立させてみせます。ありがとうございます。」
大家さんのお母さんも「うんうん」と寄り添ってくださりました。
それから、私が「奥さんも去年、ご主人さんを亡くされて…大変ですよね」と伝えると、
「そうなんです。まだね、なんか気持ちがどうしても…」と。
「どこ見てもね、主人のものがありますもんね」と私が話すと。
「わかるわー」と大家さんのお母さん。
「子どもが居ないうちに片付けしようとするんですけど、泣いて片付けれなくて…」と私が更に話すと。
「わかるわー」と大家さんのお母さん。
未亡人あるある。
なんて悲しいあるある。
そんな話を15分ほどして、おうちをあとにしようとすると「これ、子どもさんにあげて」と飲み物やらお菓子やらたくさん頂いてしまいました。
「いやいや、本当に。今日はお話にきたのに💦」と何度もお断りしようとしたのですが「いいから。もっていって」とたくさん頂いてしまいました。
何しにここにきたのか…。
しかも、長男が来年中学になる話をしていたら「お祝いに…」と進学祝いまで持たせてくれたんです。ものすごく「大丈夫です!お気持ちだけで!」と玄関先でやり取りしたんですけど。
本当に優しい方で。家賃交渉自体が申し訳ないような気もしてきました…。
「また、息子に言うときますね」と、大家さんのお母さんとお別れしました。
そして、家賃についてなんですけど。
未だ管理会社と大家さんとで交渉中なのでどのくらい下がるのか下がらないのか不明です。
あぁ、長男のお祝いまでもらってしまって…後日、子どもたちを連れてまた何かお返しをせねば…。
本当に優しい人でよかった。ありがたいです。
お母さん、頑張ります。
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